科目・制限時間および問題構成
日珠連主催段位認定試験について、
科目・制限時間および問題構成を、
できるだけ分かりやすく、まとめてみました。
過去の改正によって、
問題が大きく変更されています。
そろばんをしていたのが十数年前なら、
その後の変更に驚かれる方が多いのではないでしょうか。
改正点も含めた、
現行の科目・制限時間及び問題構成は、以下の表のとおりです。
科目 | かけ算 | わり算 | 見取り算 | かけ暗算 | わり暗算 | 見取り暗算 |
---|---|---|---|---|---|---|
制限時間 | 10分 | 10分 | 10分 | 3分 | 3分 | 4分 |
問題数 | 60題 問題(31)~(60)は、小数第1位を四捨五入し、整数で解答 |
60題 問題(31)~(60)は、小数第1位を四捨五入し、整数で解答 |
30題 うち、加減算の問題12題 |
60題 難易度が異なる問題が20題ずつ |
60題 難易度が異なる問題が20題ずつ |
30題 うち、加減算の問題12題。 難易度が異なる問題が10題ずつ |
問題構成 | 被乗数と乗数合わせて11桁 | 除数と商合わせて10桁 | 10桁揃いの数字が10口 | 被乗数と乗数合わせて、5桁・6桁・7桁と難易度が3段階ある。 | 除数と商合わせて、5桁・6桁・7桁と難易度が3段階ある。 | 4桁揃い・6桁揃い・8桁揃いと難易度が3段階ある。 いずれも10口 |
ちなみに、当記事でいう段位認定試験は、
“日本珠算連盟(日珠連)主催”の段位認定試験です。
全国珠算教育連盟(全珠連)主催の段位認定試験は、
また科目や合格基準が異なりますので、
間違えないように注意してくださいね!
各段位の合格基準
段位認定試験の試験問題は、
すべての階級で同じものを使います。
各段位の合格基準は、以下の通りとなります。
段位 | 合格点 | 段位 | 合格点 |
---|---|---|---|
準初段 | 90点 | 五段 | 180点 |
初段 | 100点 | 六段 | 200点 |
準二段 | 110点 | 七段 | 220点 |
二段 | 120点 | 八段 | 240点 |
準三段 | 130点 | 九段 | 260点 |
三段 | 140点 | 十段 | 290点 |
四段 | 160点 |
制度改正について
日本珠算連盟の段位認定試験は、
平成14年度・平成15年度および平成22年度に改正がありました。
特に平成15年度・平成22年度の改正では、
問題の難易度や合格基準が大幅に変更になっています。
平成14年度改正
平成14年度改正では、
初段から二段までの間に「準二段」が、
二段から三段までの間に「準三段」が新設されました。
これは、段位認定試験受験者が、
初段から三段に集中していることが背景にあるようです。
平成15年度改正
平成15年度改正では、
段位認定試験の出題内容等が大幅に改正され、
平成15年6月の試験から適用されています。
平成15年度改正の内容は以下の通り。
あくまで個人的な見解ですが、
経験者として、改正内容の衝撃度順に記載しました(笑)
衝撃度 | 改正内容 | 改正前 | 改正後 | コメント |
---|---|---|---|---|
第1位 | 伝票算の廃止 | 7科目のうちの一つ。 300点満点 制限時間11分 |
伝票算がなくなり、科目は6科目に減少。 伝票ホルダー不要になる。 |
受験科目が1科目なくなるのは、さすがに衝撃大。 苦手科目だった人にとっては、これほどの喜びはないでしょう。 全国大会上位者の伝票めくりは、早くて無駄な動きがなく、感動すら覚えました。余興的な要素もあり、見るだけでも興奮したものです。 |
第2位 | 見取り算の桁数・口数変更 | 5桁~11桁の数字15口。 うち、加減算の問題14題。 答えがマイナスになる問題が4題。 |
10桁揃いの数字10口。 うち、加減算の問題12題。 答えがマイナスになる問題が3題。 |
1つの問題に対する字数は120字から100字と減っているので、計算の時間が短縮される様な気はします…が、改正後の問題は、すべて10桁揃いなので、以前に比べ、見た目、重量感があります。 加減算が2題減っている点は、スピードアップ要素になりそうですが、答えがマイナスになる問題が判別しづらい点では、場合によっては時間ロスする可能性もあるので要注意! |
第3位 | 見取り算の桁数・口数変更 | 3桁~6桁の数字15口。 うち、加減算の問題14問。 答えがマイナスになる問題が4題。 |
6桁揃いの数字10口。 うち加減算の問題12問。 答えがマイナスになる問題が3題。 |
1つの問題に対する字数は60字と変わりはないものの、見取り算同様、桁揃いの数字が並ぶことによって、問題の見た目、重量感あります。 しかし、平成22年の改正によって、6桁揃いから、さらに問題が変更になりました(改正点は↓に記述しています)。 |
第4位 | 準初段・十段の合格基準変更 | 準初段の合格基準80点 十段の合格基準280点 |
準初段の合格基準90点 十段の合格基準290点 |
十段取得する前に、十段の方から遠ざかっていってしまいました(泣) 九段と十段の境目にいる人には、この10点は相当キツいですね。 |
第5位 | わり算の桁数&四捨五入処理変更 | 法商合わせて11桁60問。 うち、4問は「余り」問題。 小数第4位未満四捨五入。 |
法商合わせて10桁60問。 「余り」問題廃止。 小数第3位未満四捨五入。 |
実際に問題を解いてみないと分かりませんが、小数点処理も含め、全体的に問題が簡易化した印象です。 「余り」問題は、30問中の4問だし、廃止になったところで大して影響はないですかね。 |
第6位 | かけ算の四捨五入処理変更 | 小数第4位未満四捨五入。 | 小数第3位未満四捨五入。 | 小数点処理の分だけ、若干簡易化したかもしれません。 暗算で計算する人にとっては、だいぶ助かる改正だったかもしれませんね。 |
廃止された伝票算についての詳細は、
過去のブログ記事『廃止された「伝票算」とは?』をご覧ください!
平成22年度改正
平成22年改正では、
暗算科目に大幅な改正がありました。
平成15年改正と同様、
改正内容の衝撃度順に記載していきます。
衝撃度 | 改正内容 | 改正前 | 改正後 | コメント |
---|---|---|---|---|
第1位 | かけ暗算の問題レベル階層化 | すべての問題が、被乗数・乗数合わせて6桁で統一 | 被乗数・乗数合わせて、5桁・6桁・7桁と難易度が3段階に階層化 | 被乗数・乗数合わせて、7桁の問題が入ることによって、確実に難易度が上がりましたね。 これにより、7桁のキャパがない人にとっては、いくら最初の20題が、被乗・乗合わせて5桁で簡単だとしても、最後の20題で大幅にタイムロスや誤りが生じてしまうことになります。 |
第2位 | わり暗算の問題レベル階層化 | すべての問題が、除数と商合わせて、6桁で統一 | 除数と商合わせて、5桁・6桁・7桁と難易度が3段階に階層化 | かけ暗算と同様、除数と商合わせて、7桁の問題が入ることによって、確実に難易度が上がりましたね。 わり暗算は、かけ暗算に比べて、“7桁までのキャパがなければできない”というわけではないことを考え第2位。 |
第3位 | 見取り暗算の問題レベル階層化 | すべての問題が、6桁揃いで統一 | 4桁揃い・6桁揃い・8桁揃いと難易度が3段階に階層化 | 見取り暗算に関しては、桁が多くなっても、3桁ずつなど分割して計算できるので、改正前後で、そこまで変わった印象はないように感じます。 |
第4位 | 珠算科目と暗算科目の分離 | 珠算科目と暗算科目はセットで受験 | 珠算科目と暗算科目いずれかのみでも受験可能 | 珠算と暗算どちらかのみを受験できるということで、受験パターンを柔軟化していますが、個人的には、せっかく受けるのであれば、“どちらかしか受けないのはもったいない!”と感じます。 珠算科目も暗算科目も両方受けた方がいいですよ。 |
改正の影響
平成15年改正では、
「あれ?もしかして段位取りやすくなった?」
と感じる人は多かったのではないでしょうか。
しかし、平成22年度改正で、
各暗算科目で難易度の違う問題が一定数含まれ、
問題の難易度に幅がでましたね。
かけ暗算であれば、
40題までは被乗数・乗数の合計が6桁以下の問題なので、
ここまでは改正前より確実に早く計算できるはずです。
わり暗算でも同様に、
40題までは除数・商の合計が6桁以下の問題なので、
ここまでは改正前より確実に早く計算できますよね。
見取り暗算も同じで、
20題までは6桁揃い以下で10口の問題なので、
ここまでは改正前より確実に早く計算できます。
よって、かけ暗算・わり暗算の場合、
40題×5点=200点となりますから、
合格基準が200点=六段までの段位所有者は、
改正時点の実力でさらに高段位が見込めたわけですね。
もしかしたら“簡単になった”と、
感じる人もいたかもしれませんね。
しかし、逆に、
改正時点で七段以上取得していた高段者なら、
“難しくなった”と感じるかもしれません。
従来よりも暗算力がないと、
高段位が取れないようになったということですからね。
なんだか七段以上は、
上がっていくのが大変そうですね。
まぁそもそも、
改正後の問題も簡単に解けるような、
全国レベルの人にとっては、
何の影響もないのかもしれませんけどね…笑
かくいう私、
17年ほど前に、暗算八段を取得しましたが、
被乗数・乗数あわせて7桁の問題は正直キツいです…。
改正前の当時は、すべての問題が、
被乗数・乗数あわせて6桁だったので、
科目別で九段までは取得できたのですが、
現行の試験では何段まで取れるのか…トホホ。
あとは練習あるのみ!
これまで、色々と記述してきましたが、
いまさら何を言っても仕方ありません!
練習しましょう!(笑)
段位認定試験の各科目についての、
具体的な問題例や計算のポイントは、
過去のブログ記事を参考にしてみてください。
☆かけ算:『そろばん』段位~かけ算~
☆わり算:『そろばん』段位~わり算~
☆見取り算:『そろばん』段位~見取り算~
☆かけ暗算:『そろばん』段位~かけ暗算~
☆わり暗算:『そろばん』段位~わり暗算~
☆見取り暗算:『そろばん』段位~見取り暗算~
☆伝票算:『そろばん』段位~伝票算~(番外編)
↑コチラの問題集を使って繰り返し練習しましょう☆ |
さぁ、より高段位取得を目指して、
毎日練習しましょう!!
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